「健康増進施設ってどんな違いがあるの?」
「健康増進施設ってそれぞれどんな基準で認定されているの?」

ジンノウチ
今回の記事では、厚生労働大臣認定の健康増進施設制度の3種類の施設について違いをわかりやすく解説します。
そもそも、健康増進施設認定制度とは?
厚生労働省は、1988年(昭和63年)に国民の健康づくりを推進する上で適切な内容の施設を認定し、この普及を図るために「健康増進施設認定規定」(昭和63年厚生省告示第273号)を策定しました。
下記の3種類の施設が大臣認定されています。
- 運動型健康増進施設
- 温泉利用型健康増進施設
- 温泉利用プログラム型健康増進施設
厚生労働大臣が認定を行い、認定期間は10年間で、10年ごとに更新が可能です。
さらに、「運動型健康増進施設」と「温泉利用型健康増進施設」のうち、一定の条件を満たす施設を「指定運動療法施設」に指定されています。
運動型健康増進施設とは
運動型健康増進施設の認定対象となる施設は、健康増進のための運動を安全かつ適切に行うことのできる施設です。
- 有酸素と筋力強化運動などの補強運動が安全に行える設備として20m2以上の面積を有していること
- 運動療法や利用者の目的に応じたプログラムを実践できる器具や道具、方法の設置
- トレーニングジム、運動フロアおよびプールの全部または一部(20m2以上)
- ※プールは必須ではない
- 体力測定、生活指導、休憩設備、運動プログラム提供および応急処置のための設備の配置
- ※更衣室、シャワールーム、浴室は必ずしも必要ではない
- 健康運動指導士(常時)およびその他運動指導者などの配置
- ※現在は健康運動指導士の配置は必須
- 医療機関と適切な提携関係を有していること(制度においての契約を交わす)
- ※42条施設の場合は医療機関と運動施設の間で確認書を交わす
- 継続的利用者に対する指導を適切に行なっていること
温泉利用型健康増進施設とは
温泉利用型健康増進施設の認定対象となる施設は、健康増進のための温泉利用と運動を安全かつ適切に行える施設です。
- 温泉を利用した各種の入浴設備と運動設備が総合的に整備されている
- 入浴施設: かぶり湯、寝湯、気泡浴、ミストサウナなど
- 運動施設: トレーニングジム、プールなど
- 温泉利用指導者資格を持ったスタッフが、医師が作成した温泉療養指示書に従って入浴指導を行える
- 安全管理や応急処置、生活指導全般も行なっている
- 温泉療法の知識・経験を有する医師のいる医療機関と提携している
温泉利用型健康増進施設で医師の指示に基づき治療のため温泉療法を行った場合には、一定の条件の下、温泉利用料・指導料と施設までの往復交通費が所得税法第73条に規定される医療費控除の対象となっています。

ジンノウチ
温泉利用型健康増進施設に関しては2025年4月に一般財団法人日本健康開発財団が公開しているこちらの資料を参考にしてください。
温泉利用プログラム型健康増進施設とは
温泉利用プログラム型健康増進施設の認定対象となる施設は、温泉利用を中心とした健康増進のための温泉利用プログラムを有し、安全かつ適切に行える施設です。
- 温泉利用を中心とした健康増進のプログラムを提供している
- 温泉浴槽での特に優れた泉質を利用したプログラム
- 特に優れた周辺の自然環境の活用と組み合わせたプログラム
- 地域の健康増進事業と組み合わせたプログラム
- 温泉を使った、刺激の強いものと弱いもの双方の機能を持つ浴槽を有している
- 生活習慣病に関する啓発資料を掲示する設備を有している
- 応急処置を行う場所および医薬品などを備えている
- 体重および血圧などを測定するための場所と機器を有している
- 温泉入浴指導員を常時1名以上配置している
- 医療機関からの助言を受けられる体制があり、医療機関と提携している

ジンノウチ
温泉利用プログラム型健康増進施設に関しては、2025年4月に一般財団法人日本健康開発財団が公開しているこちらの資料を参考にしてください。
指定運動療法施設とは
指定運動療法施設の認定対象となる施設は、運動療法を行うのに適した健康増進施設です。

ジンノウチ
運動型健康増進施設と指定運動療法施設の認定までの流れについては下記の記事で紹介しています。
認定期間は、健康増進施設の期間となります。指定運動療法施設の大きな特徴が、医療費控除対象の施設という点です。
- 運動療法を行うことが適当であると医師が判断した疾病をお持ちの方
- ※疾病の種類に制限はなし
- 医師から運動処方せんを発行された方
- 指定運動療法施設で、週1回以上、8週間以上運動を続けている方
- 提携業務担当医が運動療法に関する知見を有する等であること
- 「日本医師会認定 健康スポーツ医」等であること
- ※現在は健康スポーツ医のみが対象
- ※42条施設の場合はスポーツ医の所属がなくても追加書類で申請可能
- 運動療法の実施に関して、提携医療機関から随時指導・助言を行う旨の契約関係を有すること
- 運動療法実施に係る1回毎(1日)の施設利用料金が10,000円以内(税込)に設定されていること
- 健康運動指導士の他に健康運動実践指導者(非常勤可)が配置されていること
- ※健康運動指導士とは別の人物であること
認定施設数
2025年7月7日時点での認定施設数は下記になります(2025年7月7日時点が厚生労働省のホームページ内で公開されている最新のデータです)。
- 運動型健康増進施設: 384施設
- 指定運動療法施設: 281施設
- 温泉利用型健康増進施設: 21施設
- 温泉利用プログラム型健康増進施設: 24施設