「JSPO-ATってどんな特徴があるの?」
「クライアントさんをJSPO-ATを保有しているトレーナーさんに運動指導してもらっても大丈夫かな?」

ジンノウチ
私はJSPO-ATを養成している専門学校で非常勤講師として5年以上活動しています。
今回の記事では、JSPO-ATの特徴について説明します!
JSPO-ATってどんな資格?
日本スポーツ協会のホームページ内のATインフォメーションでは下記のようにJSPO-ATの資格について紹介されています。
スポーツドクターやコーチとの緊密な協力のもと、スポーツ活動中の外傷・障害予防、コンディショニングやリコンディショニング、安全と健康管理、医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応を行い、スポーツをする人の安全と安心を確保したうえで、パフォーマンスの回復や向上を支援する資格です。
日本スポーツ協会にはメディカル・コンディショニング資格というものがあります。
このメディカル・コンディショニング資格には、
- スポーツをする方の健康管理やスポーツによる治療・予防等にあたる「公認スポーツドクター」と「公認スポーツデンティスト」
- スポーツ活動における栄養・食事に関するサポートを行う「公認スポーツ栄養士」
の3者に加えて、スポーツをする方の安全と安心を確保したうえで、パフォーマンスの回復や向上を支援する「公認アスレティックトレーナー」が含まれています。
実際に公認アスレティックトレーナーはスポーツ現場だけでなく、病院や運動施設などでも活動していて、対象はスポーツをする方と限定されているわけではありません。
JSPO-ATの資格取得への道のり
JSPO-ATの資格を取得するためには2つの方法があります。
- JSPOが実施する養成講習会の受講
- JSPOが認定する大学院・大学・専門学校での免除適応コースの受講
上記のどちらかを受講し、実技確認テストと筆記の検定試験を合格する必要があります。
ちなみに2022年4月から新しいカリキュラムで養成が始まっています。
- スポーツ外傷・障害の予防
- スポーツ現場における救急処置
- アスレティックリハビリテーション
- コンディショニング
- 検査・測定と評価
- 健康管理と組織運営
- 教育的指導
JSPOが実施する養成講習会を受講するには、アスレティックトレーナーの活動実績があり、JSPOや都道府県スポーツ協会などから推薦されなければなりません。
カリキュラムとしては、150時間の共通科目と600時間の専門科目を受講する必要があります。
一方、免除適応コースについては、誰もが受講することが可能です。
アスレティックトレーナーの活動実績がないため、養成講習会のカリキュラムの150時間の共通科目と600時間の専門科目に加えて180時間の実習時間をする必要があります(実習時間は専門科目に加えられ合計780時間とされています)。
この免除適応コースは、少なくとも2年から3年かかります。
JSPO-ATの資格更新
資格有効期間は、4年間のため、更新研修を受ける必要があります。
また、更新研修に加えて、一次救命処置(BLS)資格の保持を義務付けています。
JSPO-ATがおすすめの理由
最後にJSPO-ATに安心して運動指導を任せられる2つの理由について解説します。
おすすめの理由① 医師との連携
JSPO-ATは元々、スポーツドクターとの緊密な協力のもと、安全と安心を確保したうえでパフォーマンスの回復や向上を支援する資格です。
医師との連携でクライアントをサポートするというのが大前提の資格であるため、医師とのコミュニケーションの重要性を理解し、コミュニケーションスキルを身につけています。
スポーツ現場で活動するスポーツドクターのほとんどが整形外科のため、内科的疾患について、または内科医の先生方との連携はどうなのかという心配をされるかもしれません。
スポーツ現場にはアンチドーピングがあり、アスレティックトレーナーは選手たちの薬の服用には細心の注意を払っています。
メディカルチェックで申告された病歴や薬の服用については、必ず担当医や薬剤師の先生方と連携しています。
もちろん、スポーツ現場で活動するアスレティックトレーナーにとって、日常的に最も連携をしているのは整形外科の先生方ではありますが、必要に応じて内科医の先生などとは連携しています。
また、引退した選手や選手の家族がガンを患い、健康管理を相談されることもあります。
おすすめの理由② 安全管理体制の構築と救急対応
JSPO-ATの役割は下記の4つにまとめられています。
- スポーツ活動中の外傷・障害予防
- コンディショニングやリコンディショニング
- プレーヤーの安全管理と健康管理
- 医療資格者に引き継ぐまでの救急対応
JSPO-ATの重要な役割と挙げられるのが、安全管理体制の構築と救急対応です。
JSPO-ATにとって最重要事項はスポーツ現場における安全確保と言っても過言ではありません。
公益財団法人日本AED財団がスポーツ中の突然死ゼロを目指す取り組みの1つに緊急時対応計画(Emergency Action Plan; EAP)があります。
スポーツチームの場合には、EAPについて実際に中心となっているのがアスレティックトレーナーです。チームドクターは試合や合宿などには帯同していますが、すべての練習にも帯同しているチームドクターはトップレベルのチームであっても稀です。
普段の練習やトレーニングで実際の緊急時に対応するのはアスレティックトレーナーであり、適切かつ迅速に対応するための準備をするのもアスレティックトレーナーです。
スポーツチームに限らず、アスレティックトレーナーが活動する場の安全管理体制の構築と救急対応はアスレティックトレーナーにとって優先順位の高い役割となっています。